【ドルフロ2】の中国市場でのリリース直後、スマートフォン向け戦術RPG『ドールズフロントライン2』(以下、ドルフロ2)は、ゲーム内容や表現に関連した炎上騒動を経験しました。本記事では、事件の背景や開発者の見解、そして中国ゲーム市場の独特な文化的要因について掘り下げて考察します。
ドルフロ2炎上事件と経緯について
『ドルフロ2』は、前作『ドールズフロントライン』の続編として、中国の開発スタジオ「上海散爆網絡科技有限公司(MICA Team)」が手がけた戦術シミュレーションゲームです。リリース直後、一部のプレイヤーからゲーム内の表現や仕様について批判が集中しました。この批判は、中国のSNSや掲示板を中心に瞬く間に拡散し、炎上事件へと発展しました。
問題となったのは、特定のキャラクターやシナリオの描写が一部のプレイヤー層の価値観にそぐわないと受け取られたこと、また開発側の対応が一部のゲーマーから「傲慢」だと批判された点でした。またNTR系列のストーリーやフェミニスト系列の炎上が今回の原因では?という声もあり、一部層に関してかなり難しい反応をしめされた様子。
炎上の背景:急速に変化する中国ゲーム市場
中国のゲーム市場は近年、爆発的な成長を遂げています。この成長は、プレイヤー層の多様化と並行して進行しました。その結果、かつてはコアゲーマーに支えられていた市場が、カジュアルゲーマーや若年層、新たな社会階層にも拡大し、それぞれが異なる価値観や期待を持ち込むようになりました。
羽中氏(MICA Teamの代表)は、4Gamerとのインタビューで次のように述べています。
「中国のゲーム市場はここ数年、環境が高速で発達し、競争も激化しています。ゲーマー層も昔では考えられなかったくらい爆増していて、皆さんの欲求や嗜好も多岐にわたるようになりました。」
これにより、開発者は「全てのニーズに応える」難しさを痛感しており、あらゆるゲーム表現が細かく検討されるようになりました。実際には日本のカテゴリーに対して許容差が大きいのも背景にはあります。
開発側の視点:理念と市場ニーズのバランス
羽中氏は、炎上の原因となった一部表現について「自分たちの理念に寄せすぎてしまった結果」と認めています。同時に、ゲーム開発において「全てを市場に委ねるべきではない」とするスタンスを明確にし、以下のようなコメントをしています。
「私はゲーム作りの方法論のすべてを市場に委ねず、自分たちならではの理念を堅持していきたいと考えています。」
この発言は、ゲーム開発におけるクリエイティブな自由と市場ニーズの狭間での葛藤を象徴しています。MICA Teamは表現を修正しながらも、自社の価値観を守りつつ新たなバランスを模索していることが伺えます。
中国ゲーマー文化の特性と炎上の要因
中国市場での炎上事件は珍しいことではありません。背景には以下のような要因が挙げられます。
-
多様な価値観の衝突
急成長する市場では、異なる文化的・世代的背景を持つプレイヤーが同じゲームに集まります。そのため、どの表現でも一部の層から批判が出る可能性が高くなります。 -
SNSの拡散力
中国ではWeiboやWeChatといったSNSプラットフォームの利用が広範囲に及んでおり、炎上は一瞬で拡散します。情報が加熱することで、事実と異なる批判が膨れ上がることもしばしばです。 -
市場特有の高い期待値
世界最大規模のゲーム市場である中国では、プレイヤーの期待が非常に高い傾向があります。特に人気IPの続編では、前作以上のクオリティや新規性が求められます。
炎上の具体的な要因
-
前作キャラクターの扱いに対する不満
前作『ドールズフロントライン』のキャラクターたちが続編で冷遇された、あるいは不適切に描かれたとして多くのファンが失望しました。特に前作に思い入れを持つプレイヤー層が強い反発を示し、引退者が続出する事態に。ファンの感情を軽視することは、シリーズ全体のブランド価値を損なうリスクがあります。 -
プレイアブルキャラクターとNPCの関係性
一部のプレイアブルキャラクターが、NPC(非プレイアブルキャラクター)と親密な関係を匂わせる描写が批判を受けました。特に、NPCが男性であることが強調されたため、一部のプレイヤーが拒絶感を示しました。この問題は、NPCの性別を変更するという極端な対応に発展しました。 -
ガチャシステムへの不満
ガチャの排出率が低く、さらに石(ガチャを引くためのアイテム)の配布量が極端に少ないとの批判がありました。この点は、プレイヤー体験を直接損なう要因として多くのゲームで炎上の火種となる共通の課題です。
まとめ:炎上を超えて目指す未来
『ドルフロ2』の炎上事件は、中国市場におけるゲーム開発の困難さと可能性を浮き彫りにしました。MICA Teamは表現の修正を通じてプレイヤーとの対話を試みる一方、自社のクリエイティブな理念を守る姿勢を崩しませんでした。この事件を教訓として、より多様な価値観に配慮したゲーム開発が進むことが期待されます。
中国市場特有の要因に加え、ゲーム表現の自由と市場ニーズのバランスを取る難しさは、今後も多くの開発者にとっての課題となるでしょう。それでも、『ドルフロ2』のような挑戦的な作品が生まれることで、ゲーム業界はさらに多様性と創造性を増していくはずです。キャラクターの親密関係に関する描写は、多様な嗜好を持つプレイヤーが集まる現代のゲーム市場では、慎重に行う必要がありますが日本ではどうなるのかが気になりますね。
関連記事
ドルフロ2で気になるトレンド情報はこちらから。